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【精密機械 ハワードネルソン】
2017-06-27
2014年8月、熱風が吹き抜けるアリゾナの砂漠、
車を走らせていた。
ようやくたどり着いた目的地は、多くのネイティブアメリカンの住居がそうであるようにトレーラーハウス。
「こんなにも偉大なアーティストでもこの暮らしなのか」
どこかやり切れない気持ちを抱えながら、その扉を叩いた。
出て来たのは、極めて寡黙な男。
精密機械と呼ばれる孤高のジュエリーアーティスト、ハワードネルソン。
いざなわれ、ワークショップと呼ばれる隣の小屋へ案内される。
作業部屋は彼の性格を体現するかのように綺麗に整えられており、
まずそのことに感銘を受ける。
ハワードはジュエリーショーに出ることは基本的にない。
家を訪れてくれる人間、彼の作品が本当に好きな者のために作品を編み出す。
「こういうものが欲しい」
アウトラインを提示すると、必ずイメージしていた以上のジュエリーを創る。
そういう男だ。
風邪気味というので30分で切り上げるはずだったミーティングは1時間に及んだ。
翌日、彼が通っているというメキシカンレストランへ行くと、ハワードが常食のタコスを手にしていた。
向けられたのは「昨日はありがとう」というような朴訥で優しい笑顔だった。